ゼクト

ワインを知る

ゼクト

ゼクトはドイツ国民の間で絶大な人気のある飲料のひとつです。ドイツでは年間4億本を越えるスパークリングワインが消費されます。全世界で生産されている20億本のスパークリングワインの4分の1ちかくを消費しているドイツは、世界最大のスパークリングワイン市場なのです。1人当りの年間消費量は約4リットル、ドイツ人はスパークリングワインの楽しみ方においては、世界チャンピオンです。


ゼクト市場

ゼクトを味わう楽しみは、ドイツのゼクト業界における大手企業の広告戦略によって大々的に後押しされています。ゼクトの売上は、数十年以上にわたって販売されているビッグブランドのおかげで勢いがあります。ゼクトの大部分が数多い食品小売店(リテール)で販売されています。展開されているブランドの種類、価格は多様です。2ユーロ程度から、高価なものでは40ユーロを越えるものもあり、予算に応じてあらゆる商品が選択可能です。販売価格には、1本あたり1,02ユーロのゼクト税が含まれています。

ドイツのゼクト市場においては熾烈な競争が繰り広げられています。特に食品小売店では、複数の大企業がそれぞれのブランドゼクトで顧客を獲得しようと躍起になっています。

  • 小売においては、一般的に3つの価格帯に分類されます。
  • 4ユーロ以下の安価なゼクト。全生産量 の半分以上がこの価格帯です。
  • 7ユーロ以下のスタンダードなゼクト。
  • プレミアムゼクトには、一部非常に高価な商品があります。このカテゴリーは近年増加傾向にあります。

高品質で個性豊かなゼクトの流行に乗って、小規模の醸造所が成功を収めるケースが増えています。現在ではほとんどの醸造所や協同組合が、様々な品質のオリジナルゼクトを生産しています。

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生産工程

ゼクトの生産工程にはワインの二次醗酵というプロセスがあります。その際に発生するナチュラルな二酸化炭素はワイン内に保たれ、スパークリングワインという製品の特徴となります。

ゼクトに特徴的なのは、第1にベースワインを使用して生産する商品であるということ、第2に独特の生産工程で造られることです。高品質のゼクト用ベースワインは、例えばアルコール量(80〜85g/l)や総酸量(7〜10g/l)などが、一定の条件を満たしていなければなりません。白ワインの場合、タンニンの量は低くなければならず、pH値も同様です。大企業はブレンドによって造る固定スタイルの製品を好み、均質なベースワインのキュヴェを造ります。一方、醸造所では個性的な製品の小規模生産を好み、1品種から造られるゼクトも珍しくありません。ゼクトは酵母の澱と接触させている限りにおいて、比較的安定しています。デゴルジュマン(酵母の澱を取り除くこと)を経ると、熟成に拍車がかかります。そのためゼクトは、タイプにより、デゴルジュマン後1年から3年以内に消費すべき商品です。


発酵のプロセス

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スパークリングワインの生産には3つの生産工程があります。

大型容器醗酵法、またはタンク醗酵法(シャルマ製法)

この醗酵法では、大型の圧力容器内で、大量の均一のロットが生産できます。醗酵プロセスの後に酵母の澱を取り除き、できたゼクトをボトリングします。この方法はコストが安くすみ、主に大規模醸造所(ケラーライ)での、ゼクトやスパークリングワインの工業的生産方法として実践されています。
 

瓶内醗酵法、またはトランスヴァジア法

瓶内二次醗酵後、圧力容器内にボトルのゼクトをあけ、フィルターで酵母の澱を濾過した後にボトリングを行います。この方法は手間とコストがかかるデゴルジュマンに至る手作業を簡便にします。エティケットには「瓶内醗酵」の表記が認められています。
 

伝統的瓶内醗酵法

瓶内二次醗酵後、個々のボトルを機械か手作業で「動瓶(ルミアージュ)」し、徐々に垂直になるよう角度をつけていきます。こうして酵母の澱を瓶の口に集め、ゼクトが失われないよう取り除きます(デゴルジュマン)。最も手間とコストがかかる工程で、ボトルにはその旨表記することが認められています。

これら3つの通常の製法以外に「メトード・リュラル」(リュラルは田舎の意)と呼ばれる方法があります。メトード・リュラルは南フランス、リムー地区で行われている、最古と言われるスパークリングワイン製法です。瓶内二次醗酵は行われず、完全醗酵していないモストをボトリングし、そのまま瓶の中で更に醗酵させ、二酸化炭素を得ます。通常酵母の澱は除去せず、瓶内に沈殿します。ドイツでも、僅かながら、この方法でゼクトを生産している造り手がいます。
 

ゼクトに泡を込めるには?

蔗糖(サッカローズ)を添加することで、必要となる炭酸ガスの圧力を得ることができます。アルコール量は約10〜12g/l 増量します。蔗糖の他にゼクト用の酵母を添加します。この溶液をティラージュといい、ゼクト用ボトルにボトリングをした後には王冠で栓をし、12〜15度で瓶内醗酵させます。続いて、品質を向上させ、ゼクトを安定させるために、酵母の澱に接触させたまま寝かせます。ゼクトb.A.(指定生産地ゼクト)は最低9ヶ月寝かせることが必要です。
 

酵母の澱の取り除きかた

酵母の澱を取り除くには、ルミアージュの後、ボトルの口に集められた澱を氷結させます。デゴルジュマンの際、氷結した澱は炭酸ガスの圧力で押し出されます。その後、ワインに砂糖を溶かしたリキュールをゼクトに加え、一定の味にします。


ヴィンツァーゼクトとは?

「ヴィンツァーゼクト」の概念はEUのスパークリングワイン規定において厳密に定義され、高度な要求事項が定められています。ゼクトを製造する醸造所が、自ら生産したぶどうから造ったベースワインの使用だけが認められているほか、伝統的な瓶内二次醗酵法による生産だけに限定されています。つまり二次醗酵はボトル内で行われ、ゼクトはデゴルジュマンまで最低9ヶ月、酵母の澱と一緒に熟成させなければなりません。ヴィンツァーゼクトの多くは、最高品質のゼクトを生産するため、より長期間にわたって熟成されます。生産者団体、ボトリング業者を通じての委託生産は、ぶどう、モスト、あるいは完全に醗酵を終えていないベースワインから生産する限りにおいて認められています。エティケットには、醸造所、品種、ヴィンテージの表記が義務付けられています。
 

ゼクト早わかり

ゼクトは一次醗酵、あるいは二次醗酵を経て生産され、実質アルコール度数が10% Vol.以上あり、炭酸ガス圧が3,5バール以上ある製品です。
 

ドイチャーゼクトはドイツ国内で、ドイツ産のベースワインから生産されます。

ゼクトb.A.(指定生産地ゼクト)は、ブレンドと原産地表示に関しては、クヴァリテーツワインb.A.と同等の厳格な規定に従って造られ、品質に関しては公的検査を受けます。

ヴィンツァーゼクトは、個々の醸造所の個性ある製品で、伝統的な醗酵法を経て生産されます。ヴィンテージ、ぶどう品種、生産者名は常にエティケットに表示します。 ヴィンツァーゼクトは生産者元詰製品です。

クレマンは「ゼクトb.A.」のカテゴリーに属する製品で、以下の諸条件を満たしている場合は、指定産地名と合わせて表示することが認められます。(例えば「クレマン・バーデン(Crémant Baden)」「バーデン・クレマン(Baden Crémant)」などと表示されます)

  • 最低9ヶ月酵母の澱と接触して寝かせたものである
  • 伝統的な醗酵法で生産されたものである
  • 白ワインのゼクトの場合は、全房圧搾でモスト(150kgのぶどうから最大100リットルのモスト)を得ている
  • 亜硫酸塩添加の上限が150mg/lである
  • 残糖の上限が50g/lである
  • 場合によってはその他の国内規約に従う