フード・ペアリング/レシピ

アジア料理と最高に相性が良いワインとは、アルコール含量があまり高くなく、柔らかなタンニンと軽快な酸味を備え、適度な甘みの残るワインです。こうした特徴は全て、アジア料理の持つ酸味、甘味、旨味、スパイシーさとのバランスを取るうえで欠かすことのできない要素です。その意味で、ほとんどのドイツワインはアジア料理と相性がとても良いといえます。そしてこの最高の組み合わせを可能にしているのが、冷涼産地ドイツのワインが持つ優雅なアロマと清涼感なのです。

多彩な食材と豊かな風味が特徴の中国料理や和食とのペアリングには、その料理の調理法や味付けに合わせてワインを選ぶことが大切です。そうすることで、より効果的なペアリングを柔軟に引き出すことができ、大いに味覚を刺激することになります。なぜこの方法が良いのかというと、それぞれの料理の濃厚さや風味は、食材そのものよりも、調理法や味付けによって決まるからです。この点を踏まえ、和食と中国料理の5つの基本的な調理法や味付けをご紹介し、それぞれに最適なドイツワインをご提案いたします。


和食と中国料理

その他のアジア料理

\蒸し料理

蒸し煮や煮込み、蒸し物は、食材がもつ本来の味を引き立たせる調理法で、出汁や酒を加えることで、あっさりしつつも芳醇な旨味が続きます。例えば、中国料理のハタのスープ蒸しや和食のあさりの酒蒸しには、軽やかな口当たりで爽やかなヴァイスブルグンダー、グラウブルグンダー、リースリング・ゼクトなどの白ワインが大変よく合います。これらのワインの持つ酸味が料理の自然な風味を引き立てる一方、十分な果実味は、それぞれの料理が持つ風味の繊細なバランスを包みます。

\炒め物・揚げ物料理

炒め物や揚げ物料理と合わせるワインには、料理の脂っこさを和らげる役割が求められます。リースリング・ゼクトは鮮やかな酸味とキレのある泡が特徴で、見事にその役割を果たします。

\スパイシーな料理

伝統的な和食にスパイシーな味付けの料理はありませんが、中国をはじめとするアジアの文化圏には、唐辛子をふんだんに使った辛い料理が広く見られます。スパイシーな料理が特にお好きな方は、辛口のリースリングやリースリング・ゼクトが、口の中をすっきりさせ、味蕾を満たすのにぴったりでしょう。一方、スパイシー料理があまり得意でない方は、やや甘口のリースリングがよいかもしれません。ワインに含まれる糖分が辛さを和らげてくれます。

\しょう油味の料理

しょう油は中国料理や和食にとって大切な調味料です。トンポウロウ(中国料理の豚の角煮)であれ、うなぎのかば焼きであれ、しょう油に砂糖を加えて煮詰め、そこに食材から出る脂が加わることで、甘辛の豊かな味が誕生します。ピノ・ノワールやドルンフェルダーのようなタンニンが柔らかくフルーティーな赤ワインは最高の組み合わせです。

\甘酢料理

和食の柑橘系ドレッシングをかけた和風サラダや梅しそソースのポークチョップ、中国料理のスペアリブの甘酢煮込み、酢豚や魚の甘酢あんかけは長く愛されてきた料理で、日本も中国も甘味と酸味が織りなす味に惹かれてきたことを表しているといえます。濃厚で甘味もある料理には、リースリングのファインヘルプやカビネットなどの甘口がよく合います。料理の甘味を引き立たせるだけでなく、爽やかで軽快な酸味が肉の濃厚な味に程よく合います。


いずれにしても、テーブルいっぱいのアジアのご馳走を前にワイン1本では足りないかもしれません。こうしたお食事の機会には少なくとも2本のドイツワインをお勧めします。1本は幅広い料理との相性が良いやや辛口のリースリングかリースリング・ゼクトです。もう一本は果実香味が豊かでタンニンが柔らかなピノ・ノワールかドルンフェルダーです。この組み合わせであれば、どのような料理にも合いますので失敗がありません。

本冊子では和食と中国料理の中から毎日の料理に役立つ16のレシピを、手順を追ってご紹介し、それぞれのお料理に合ったドイツワインをご提案しています。本冊子をきっかけに、ドイツワインとアジア料理のペアリングが奏でる完璧なハーモニーをさらに追求していただけることを願っています。

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