マレー系を中心とした多民族国家・インドネシアは、1万3000以上の島の集合体。かつては島毎の言葉を持ち、各島だけのオリジナルの織物文様を持っていたとも言われるだけあって、食文化も多彩ですが、日本でいただけるインドネシア料理では、サテ(鶏肉や豚肉の串焼き)、ソトアヤム(チキンスープ)、ナシゴレン(焼きめし)、ルンダン(ココナッツミルクと香辛料で煮込んだ肉料理)などがよく知られています。
香辛料の産地のため、普段の料理にもコショウやココナッツ、ヤシ砂糖、クミン、タマリンドなどをよく使うのが特徴。基本的にはイスラム教国なので豚肉は食べませんが、バリ島はバリ・ヒンズーという独自の宗教を信仰しているため、普段から豚肉を食べますし、結婚式などの特別な宴会ではバビ・グリン(豚の丸焼き)でお祝いすることもよくあります。
ドイツワインと楽しむ
アジア料理の中でもココナッツミルクを使うことが多いインドネシア。前述したルンダンなどには、グラウブルグンダーのドイツワインが合います。牛や山羊、鶏、魚などルンダンに使う食材は多様ですが、辛味も少々あり、ざっくり言えば水分が少めなインドネシア版カレー。グラウブルグンダーはボディがあって、余韻までずっとふくよかさを残してくれるので、ココナッツの油分との相性も◎。辛味も包み込んでケンカすることがないので、安心して楽しめます。ちなみにナッツ類ともよく合うので、おつまみによく出てくる塩ピーナッツなどとも杯が進みます。なお、牛肉料理の時は、シュペートブルグンダーがよく合います。
また全体的に料理の味が濃厚な傾向があるのがインドネシアですが、ここで登場させたいのがリースリング。複数のスパイスを使ったり、油をたっぷり使う料理をがっちり受け止め、爽やかな満足感へと誘ってくれる、有能な秘書のようなワインと言えるでしょう。例えば前述のナシゴレンは、一般的にニンニクや小赤たまねぎ、魚醤、ケチャップマニス、パーム油などを使います。さらに食べる際にサンバルと呼ばれる辛味調味料をお好みでかけますが、こんな〝しっかり味系〟焼きめしでも、リースリングとなら楽しめます。