ユリウスシュピタール： エンボス模様のボックスボイテルの故郷

「ボックスボイテル」の最も古い描写は、恐らく、ユリウスシュピタールの外壁に取り付けられた16世紀のストーンレリーフのちょうど真ん中にあるものだと思われます。本来は薬瓶を表していたかもしれません…

…が、今日私たちが知っている、平べったい丸みを帯びた、首の短い「ボックスボイテル」の前身のワインボトルだった可能性もあります。いずれにせよ、レリーフ中の球根のように丸くふくらんだガラス瓶（バイアル）は、そのような形状の瓶があったことを裏付ける最初の文書証拠であるとされています。実際、このレリーフは1576年のユリウスシュピタールの設立を記念するものです。石板にはユリウスシュピタールの設立趣意書が刻まれています。

ユリウスシュピタール設立の資金として私財を寄付したのは、ヴュルツブルク司教のユリウス・エヒター・メスペルブルン候でした。市の中心部に位置する広大な庭園や湖が購入され、新しい施設に造り変えられました。司教が掲げた目標は「傷やその他の病状を癒すための医薬を欲する貧しい人々、病める人々、極貧の人々、傷ついた人々や捨てられた孤児たち、巡礼中の人々など、助けを必要としている人々の世話や治療を行うこと」でした。1576年5月12日に定礎式が挙げられ、司教は、贈与証書によって、例えば、牧草地、森林、世界的に名高いヴュルツブルガー・シュタイン内の土地区画を含むぶどう園などのユリウスシュピタールの維持を保証しました。

今日まで、病床数365床の医療センター、高齢者ホーム、てんかん患者のためのカウンセリングセンターにおいて、ユリウスシュピタールは病人や高齢者のケアを行っています。これらの施設は、緩和医療／ケア・ホスピス事業関連の専門学校と看護、高齢者ケア、集中治療関連の教育施設によって補完されています。さらに、コンベンションセンター、広大な農業事業、広大な森、そして当然のことですが、ドイツ国内で2番目に大きい172ヘクタール（425エーカー）のぶどう園付きワイン農園も同財団が所有しています。農園の中心の、1699年にアントニオ・ペトリーニが設計した豪華な「司教の棟(prince's building)」の下には大樽（カスク）のセラー（長さ250メートル／820フィート）があります。この場所で、この農園の素晴らしいワイン、世界で名を響かせるワインが醸造されているのです。例えば、1953年のエリザベス2世の戴冠式でユリウスシュピタールのワインが出されましたが、このワインはイプホーフェンのユリウス・エヒター・ベルクの斜面から生まれた1950年のリースリング・アウスレーゼでした。当然、今日フランケンの伝統的なワインボトルであるボックスボイテルに詰められていました。

ボックスボイテルの形は古代からのものです。アシャッフェンブルク近くのフランケンの土壌から出土したケルトの遺物（紀元前1400年頃）の中に、丸い、平べったい形の粘土でできた瓶がありますが、これがボックスボイテルの原型とされています。ローマ人も同様の形の容器を水筒として使用し、中世には巡礼者の間で流行しました。「平べったく丸いチーズ」のような形は、荷車の邪魔にならずにベルトから下げることができたからです。

1726年、水で薄めるなどのやり方でワインに不正に手を加える行為が広がりを見せる中、市議会は、その対抗措置として、自分達の「純粋な」ワインを識別するための品質の証としてボックスボイテルの使用を決定しました。最古の例は、ビュルガーシュピタール醸造所に収蔵されていました。1862年にボックスボイテルは「シュタインワインを詰めて出荷するための、エンボス模様入りの山羊の陰嚢のような形の丸いボトル」と描写されました。今日、ボックスボイテルはフランケンワインの商標であり、1989年以降は法律によってフランケンの肩書き付き上級ワインの商標として公式に登録・保護されています。