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新ドイツワイン物語 10 -New German wine story 10-
Vol.10 「ゼクトで粋なクリスマス★」
by 松村由美子 (Wines of Germany Japan Advisor )
街がライトアップされ、クリスマスももう間近。弾ける泡のスパークリングワイン。ドイツのゼクトで乾杯しませんか?
「ソムリエも驚く、ゼクトの世界的な人気の度合い」
2018年ドイツで行われたソムリエサマー研修に参加した日本を代表する若手ソムリエは言う、「世界で最も売れているスパークリングワインはどの国か?」と授業で聞かれ、自身は1位フランス、2位イタリア、3位スペイン、4位にドイツかな? と予測していた。ところがなんとその実態は1位がフランス、2位にドイツ!驚いた理由は「ワイン全体の生産量においてドイツはたった1%なのに、スパークリングワインの消費量において、2位になるほど世界中で人気だ」という事実をソムリエを長年やっていながら知らなかったから。それ以降ゼクトを見直したそうです。
「ゼクトのスタイル」
2018年のゼクトb.Aの地域別生産量は多い順に、バーデン、ファルツ、ヴュルテンベルク、モーゼル、ラインヘッセン、ラインガウ、フランケン、ナーエ。品種別生産量はリースリング(40%)、シュペートブルグンダー(17%)、ヴァイスブルグンダー(6%)、シャルドネ(2%)。
何といってもリースリングの爽やかな酸がゼクトの特徴と言えるでしょう。地球温暖化前は酸が強くたっていたことがありドサージュが増えたりバランスを伴っていなかったこともありました。温暖化によりここ10年で伝統国のワインのスタイルは変わり、それもゼクト人気の一つの要因でしょう。
シャンパン好きにもお勧めなゼクト
フランス革命前後、ドイツ人がシャンパーニュメゾンに働きに行きメゾンを設立する人も現れました。ボランジェ、エドシック、ドゥーツ、マム、そしてクリュッグもその一人。リースリングはシャルドネやピノノワール同様に熟度と酸のバランスがあります(たとえ早摘みしても)。pHはシャンパーニュのシャルドネに近い(3.0)。リースリングはシャンパン同様の魅力と潜在能力を持つブドウです。フルーティなものから、厚みのあるもの、熟成させてよりコクがでたものまで様々。シュペートブルグンダー100%のブラン・ド・ノワールがふくよかで、より手頃な価格の代替品を探しているシャンパンファンには特にお勧め。価格はシャンパーニュの3分の1ほど低く、最初の1杯のつもりが 2~3杯に!なるかもしれません。
プロセッコやカヴァを楽しんでいる方には、若くてフレッシュなリースリングゼクト。よりアロマ豊かで快活な泡が、クリスマスの特別感を後押しします。またリースリングのやや甘口のゼクトは上品でべたつかない爽やかな優しさを感じ、デザートや多国籍料理、アルコールの強くない方にもオールマイティ。ゼクトの持つ様々なスタイルを楽しんでみてください。
ドイツのクリスマスの定番料理は?
ゼクトだけでなく、赤ワイン・シュペートブルグンダーも忘れてはいけません。ドイツのクリスマスは、シュペートブルグンダーを飲みながら、ガチョウの丸焼きを食べるのがお約束。
Weihnachtsgans(クリスマスのガチョウ)と呼ばれ、家で食べるだけでなく、ホテルやレストランでも人気のクリスマスメニューです。
ガチョウはたっぷりと脂肪がついていますが、長時間じっくりとローストするとその脂肪はすべて出てしまい、皮はパリパリ、お肉はジューシーに!付け合わせは、ジャガイモのお団子、クヌーデルと紫キャベツが定番です。
そして新年はもちろん、ゼクトで乾杯! Zum Wohl !(ツンヴォーイ!)