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新ドイツワイン物語 7 -セレクション2020のバックヤード-

03/27/2020

2017年からスタートしたセレクション。それは日本で流通しているドイツワインの中から、‘今のドイツのスタイル’の指針となるようなワインの選考会。今年は‘消費者向けにお勧めしたいワイン’をテーマに2月20日に行いました。


Vol.7 Wines of Germany セレクション2020 ~消費者向けドイツワイン~

by 松村由美子 (Wines of Germany Japan Advisor )

 

2017年からスタートしたセレクション。それは日本で流通しているドイツワインの中から、‘今のドイツのスタイル’の指針となるようなワインの選考会。今年は‘消費者向けにお勧めしたいワイン’をテーマに2月20日に行いました。選ばれた20本を年間を通じて展示会やセミナーにてハイライトしPRをしていきます。躍進を続けるドイツワインの認知度を広めたい!という思いを込めて…

 

消費者向けの‘イマドキドイツワイン’のスタイルとは?

過去2年はプロ向けには辛口の普及をメインにしてきました。昨年から消費者嗜好を意識し、今年は消費者向けがテーマ。基準で変えた点は、残糖45g/L、ゼクトは50g/Lを上限にやや甘口も対象に加えました。ドイツのワイン法を参考に残糖範囲を決め、ビギナーや女性、アルコールにさほど強くない人にも飲みやすいものを、というのがその理由です。やや甘口の選考時には、特に酸の質を図り、べたつかないかどうかに着目しました。

 

対象ワインと価格帯

消費者向け、もう一つの特徴は価格帯です。スーパーマーケットで求めやすい価格帯1500円未満を新たに加え、5つの価格帯別カテゴリーごとに比較試飲を行いました。¥1,500未満、¥2,000未満、¥3,500未満、¥5,000未満、¥5,000以上。白はリースリング、グラウブルグンダー、ヴァイスブルグンダー、ジルヴァーナー。赤はシュペートブルグンダー、ドルンフェルダー。その他ブレンドも可。ゼクト、辛口、反辛口、やや甘口。いずれも750mlの日本に潤沢に在庫があるワインを、インポーターより募集しました。

37社より合計158種類の応募を頂き、注目度と期待度の高さをしっかりと感じました。いずれも状態はとてもよく、安心な保管管理体制が伺えます。

 

セレクションの審査員と選考方法

テイスターは5名プラスドイツ本部より2名。森上久生氏(ソムリエ・ペアリングマイスター)、葉山孝太郎氏(ワインライター)、瀧田昌孝氏(パレスホテル・ソムリエ)、オースタン沙知子氏(ワインエデュケーター・CAPLAN)、名塚 誉朗氏(ソムリエ・(株)ワルツ。)名塚氏以外の4名はすでにドイツ本国でのワイン研修を経て、最新情報とスタイルを体験済み。消費者向けという点で2名の新規テイスターへ依頼:オースタン氏はワインスクールで直に消費者と意見交換をし、家庭料理とのペアリングにも長けています。名塚氏は新宿・丸の内で若者に人気のMARGOなどのレストランを統括しています。

加えてドイツ・ワインインスティテュートからはウルリケ・レンハード(日本担当マーケティングマネージャー)とモリツ・フォルケ(海外セミナー責任者)が参加。完全ブラインドでの試飲選考会。100点法で採点し上位20品が選ばれました。

 

ハイライトとPR

選ばれた20本を消費者へわかりやすく伝えるツールとしてWEB掲載(当方のホームページやSNS)や消費者向けイベントでのチラシ配布をしていきます。当オフィスが力を入れているのが、「ドイツワインの使い方」つまり、ライフスタイルにどんなふうに登場させたらいいのか、ヒントの提案です。まずは料理とのペアリング。森上ソムリエの和洋中マルチな、かつ緻密なペアリングのコツを各ワインに合わせて提案。また葉山氏の「どんな場面で飲みたいか」TPOにあわせたドイツワイン選びも楽しめるような提案です。

現在制作中ですので、ぜひ楽しみにしていてください。

 

インポーター目線での所感

2017年当初、ドイツワイン取扱いは60社。甘口主流で応募したくてもできないという事情も実はありました。モダンドイツスタイルを取り扱うのがまだまだ少く、リースリング以外の品種もあまり輸入されていませんでした。今回、ヴァイスブルグンダーがじわじわと数が増え、品質の向上も実感しました。特にシュペートブルグンダーはクローンの研究や温暖化の恩恵もくわわり、品質の向上に安定感を見出しました。ブルゴーニュの価格高騰の代替品として頼もしい存在となるでしょう。若手消費者は、ドイツはビールの国、ワインを作ってることすら知らない人が多い、そして若者は新しいものが好き、人と同じだと飽きる。彼らのドイツワインの印象は「新しくて飲みやすくて、素直に美味しい」興味がわきたぐっていくと、ドイツは実は歴史ある産地である、そんなドイツはまさに「OLD NEW WORLD」。ボックスボイテルボトルは「まるっこくてカワイイ、バえる!」とインスタばえにも採用しやすいようです。

さて、ドイツはさあ、と語るベテランの皆様、消費者目線でドイツワインを俯瞰でながめてみてください。他国とちがったアロマチックな個性とスレンダーなルックスのドイツワイン。売りにくいと思うか売りやすいと思うか?それは日頃の’消費者ウォッチング‘にひも付くのではないでしょうか?