WOGコラム詳細

販売店・インポーター様

WOGコラム

新ドイツワイン物語 9 -New German wine story vol.9-

12/14/2020

新型コロナでの渡航制限により、毎年生産者が来日しての試飲会から、ショートビデオメッセージで生産者が登場し試飲ボトルの事前空輸、ソーシャルディスタンスの確保から出展社数を制限するという形式での開催となりました


Vol.9 プロ向け試飲会Riesling&Co. &ドイツワイン2020ハーベスト情報

by 松村由美子 (Wines of Germany Japan Advisor )

 

Riesling&Co. プロ向け試飲会を開催 2020年11月2日品川 ザ・ランドマークスクエア トーキョー

新型コロナでの渡航制限により、毎年生産者が来日しての試飲会から、ショートビデオメッセージで生産者が登場し試飲ボトルの事前空輸、ソーシャルディスタンスの確保から出展社数を制限するという形式での開催となりました。国内インポーターは16社が出展し、未輸入の生産者が10社が出展。3部制にし、1部ごとに人数制限を行い、各ブースには対面位置をビニルシートで仕切るなど感染防止規定に従い実施。また例年になく外出が容易ではない状況の中で212名が参加。ドイツワインの根強いファンと新たな関心の高さを実感しました。

 

インポーター5社が初出展 募集開始と同時にキャンセル待ち

Riesling&Co.は各国で隔年開催される「プロ向け試飲会」の名称。(名前がリースリングですが、出展品はさまざま)ドイツ本国では、未輸入の生産者に、日本では既に流通しているドイツワインインポーターに出展を募ります。今年は出展者数が制限されたこともあり、例年にない早さで申込が埋まり、すぐにキャンセル待ちが出たほどでした。特に注目点は、初出展社が5社となったことです。アグリ(株)、(株)飯田、(有)カツミ、(株)ローヤルオブジャパンの各社様です。新鮮なラインナップが加わり、参加者からも満足の声が聞かれました。特に上質の辛口タイプをベーシックなやや甘口タイプに追加したり、オーガニックを開始したりと、既存ラインナップの幅と厚みを広げる工夫を感じさせられました。

 

参加者は料飲店が最多

プロ向けの案内で、参加者合計212人の詳細は次の通り。輸入・卸・問屋=41人、小売店=41人、料飲店=104人、教育者・協会他=15人、プレス=11人、プラスセミナー参加者52名。 特に料飲店の熱心なソムリエはドイツワインに着目しています。海外でも評価が上がっていることを察知したり、店の料理を邪魔しないピュアさと、選べる多様性に興味が高まっているようです。

 

ゼクトセミナーも同時開催 52名が参加

本来、来日するはずであった若手生産者グループ・ジェネレーション・リースリングから未輸入ゼクト6品を厳選し試飲セミナーも開催しました。講師はドイツソムリエクラスにも参加した山下公博氏(スパイスワークス)スパークリングワインはこの四半世紀で最も急速に伸びたカテゴリーで、ワイン生産全体の10%を占める。その80%が欧州産。生産量1位はイタリア、2位はフランス、そしてなんとドイツが3位。4位にスペイン、5位にアメリカと続きます。ドイツのゼクトは自国消費が多くリースリングブリュットが一番人気。今回紹介した6品のゼクトは、①ジルヴァーナー(フランケンペットナット)、リースリング(②ファルツ、③ラインヘッセン、④ラインガウ、⑤モーゼル)、⑥シュヴァルツリースリング(ピノムニエ)とシュペートブルグンダーのブランドノワール(ヴュルテンブルグ)。若手ソムリエにダントツ人気のペットナット、シャンパン愛好家にも好まれるリッチなブランドノワール、産地により飽きのこない発見・リースリング。いずれも「新鮮な発見」という声を頂きました。

 

インポーター目線での所感

ゼクトセミナーは初の試みでした。現地研修から帰国したソムリエ達が、目を輝かせてゼクトの魅力に目覚め、可能性を語り「僕、広めます!なのでもっと輸入してほしい!と」頼もしい感想をもらいました。街にはカヴァやプロセッコが溢れ、店にはシャンパンやスプマンテ、たまに変わり種が勧められる。

お手軽スパークリングは相当数を売らないと粗利が稼げない。さてゼクトの可能性は?

価格帯はシャンパーニュとスプマンテの間、フランチャコルタと同じ位になるでしょう。(平均すれば)。個性で言えば、リースリングは他国にないアロマ、ゆるがない優雅な酸。季節や料理の温度を問わず寄り添ってくれる。フランチャコルタほど外見を飾らない「すっぴん美人」達。それがゼクトの魅力。樽をむやみに使わず、最大限自然と土壌を活かし、そこに一匙の自分らしさを加える。そんな職人気質で控えめなドイツ人の造るゼクトは、まだ掘り出し物がたくさん眠っています。「なんか面白いものないの?」というベテラン客先には、「これ、なんでしょう?」とブラインドでゼクトを。「只今ワインに目覚め中」な若手客先にはペットナット(ペティヤン ナチュレルPetillant Naturel自然派微発砲)を差し出し、王冠を抜き、酵母感を語り合えればこっちのもの。そんな刺激と安心を与えるドイツゼクト。次の一手に 是非。

 

ドイツからの2020年の収穫情報は、プレスリリース「ドイツの 2020 年ヴィンテージは最高レベル!」をご覧ください